倒産社長の共通点

日付
2017/12/13
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倒産社長の共通点については、
弊社もかねてよりお伝えしてきましたが、
今回はコンサルティング現場で実際に経験した事例を紹介します。

◆創業70年、製材業を営むA社
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弊社の書籍をご覧いただいたという社長の奥様から
お問い合わせがありました。
後日訪問し、会社の現状を詳細にお聞きしました。

10年程前までは順調だったものの、
需要の変化もあり業績が徐々に厳しくなってきたこと。

また、債務超過であることや
設備投資のための借入金が多額で返済も重い上、
本業も赤字が続き資金繰りが厳しいこと。

そして、仕入先にも未払金があること等々……。

1時間半ほどの滞在時間中、
社長の発言はほぼなく、9割は奥様が話していました。

その理由は徐々にわかってきました。

まず、社長は決算書の内容をあまり把握しておらず、
会計事務所から月次の試算表が届いていなくても
あまり気にしていないようでした。

銀行対応にもほとんど関与していない様子で、
経理をしている奥様が一人で資金繰りに奔走している状況。

つまり、社長は決算書や社内の計数については極端に弱く、
奥様に任せっきりで逃げてきたわけです。

しかし社長も「とにかく売上を上げなければ」と、
得意先からの注文に一生懸命対応し、
朝早くから夜遅くまで働き続けていました。

ところが、社長の努力とは裏腹に、
売上は伸びているものの営業利益は毎年減少していたのです。

売上を上げるために多少利益が少なくても受注したり、
自社の生産キャパシティ以上の受注を取ったため、
残業や生産ロスが増え売上増加と反比例して粗利は毎年減少。

さらに管理には全く目が向いておらず経費は増加。

結果、営業利益が減少の一途を辿るという
最悪のサイクルに陥っていたのです。

一番の問題は、
社長含め社内で製品原価を把握している人がいないことでした。

そのため、

「とにかく一生懸命モノを作れば、
売上が上がって利益も上がるはずだ」と

間違った幻想を抱いていたのです。

また、社内には社長がいろいろな人から
「雇ってやってくれないか?」と頼まれて雇った社員の方が数人おり、
やる気や能力が低くても頼まれて雇用したため、
遠慮して注意も指導もできない状況でした。

倒産社長の共通点である、

「お人好し」
「計数音痴」
「嫌なことから逃げる」
「時間貧乏(体が働きすぎて脳がさぼっている)」などに、

社長はことごとく当てはまっていました。

◆改革スタート
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まずは、改革のための社内調査と社員研修会を実施しました。

社内調査からは、
全く業績・原価を管理していない状況や、
社長が注意・指導をしないため
好き勝手にふるまっている社員が複数いること。

また、社長の技術が一番高いため、
難しい特注品はすべて社長が対応し、
社員はやろうとしないことが判明しました。

メインバンクへの聞き取り調査でも、

「破綻懸念のあるA社にもう貸付はできない」

「会社に訪問しても社員は挨拶もしないし、
 社長がフォークリフトで走り回っていても、
 社員は煙草を吸って休憩している」

「あんな会社は見たことがない」と

厳しい指摘をされ、
待ったなしの改革をスタートする必要がありました。

【改革方針】

■業績を社内公開。
 全ての製品(製材品)の原価計算を行い、
 赤字の製品や赤字の得意先を見直す

■正式な組織図を作成し、
 役職や給与に見合った働きをしてもらう

社員研修会では社長および全社員が、
改革方針に基づき今後どのように改善していくかを考え、
決意表明をしていただきました。

◆改革の足跡
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厳しい改革を進めると、
これまでいい加減にやってきた数名の社員から
「ついていけない」と退職者が出ました。

社長には「血の流れない改革は無い」と理解いただき、
残った社員で改革を進めていきました。

その結果、
1年目から黒字化することができました。

赤字の製品や得意先を見直したため売上は下がりましたが、
粗利は増え、残業や経費も減らせたことで、
営業利益を出すことができました。
2年目以降も順調に黒字を計上しています。

社長が倒産社長の共通点を引きずっていたら、
この改革は成功しなかったでしょう。

土壇場で社長が腹をくくって、
厳しい改革に着手したからこその結果だったと
今でも感じています。

もし今回の事例を読み
「自分にも当てはまる点がある」と感じた方は、
厳しい改革への第一歩を踏み出すことをおすすめいたします。