事業承継と真剣に向き合う~大幅改正・事業承継税制~

日付
2018/07/10
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 FIFAワールドカップ、
 日本代表は惜しくもベスト16で敗退しましたが、
 非常に見応えのある試合内容であったと同時に、
 「世代交代」という4年後への課題も見えた試合でした。

 サッカー日本代表の世代交代の課題は、
 ある意味後継者問題に悩む中小企業に似ていると感じました。

 今回は、悩める中小企業の現状を少しでも解決すべく、
 平成30年に大幅に拡充された
 「事業承継税制」の活用について触れてみたいと思います。

■ 事業承継の現状
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 中小企業経営者の引退年齢は平均で70歳前後であり、
 今後5年程度で多くの中小企業が
 事業承継のタイミングを迎えるといわれています。

 しかし、後継者がいないという固定観念や
 進め方・現状についての認識不足などにより、
 事業承継の準備を先送りにしているのが
 多くの中小企業の実態ではないでしょうか?

 日本にとって最大の損失は、
 業績の良い会社、業績改善できる会社が
 これからも存続可能な状況にも関わらず
 廃業してしまうことです。

 そうならないためにも
 中小企業がこれまでの経営基盤を損なわないように、
 事業承継に向けた取り組みをスムーズに進めることが、
 経営者と後継者のみならず、
 日本のこれからを左右する重要な課題となっています。

■ これまでの事業承継への課題(財産面)
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 会社のオーナーは、
 会社の株式(自社株)という財産を持っています。

 自社株は非常に高い評価額となることが多く、
 承継の際に多額の相続税がかかってくる可能性があります。

 つまり、換金性が全くないにもかかわらず、
 多額の相続税を支払う必要が生じるということです。

 これまでの事業承継において、
 大きな価値の株式を大量に持ったまま、
 その会社のオーナーが亡くなってしまった場合、

 多額の相続税を支払うことができず、
 自社株をまとめて後継者に引継ぐことが
 できない状況にありました。

 これでは会社経営に大きな影響がでてしまいます。

■ 平成30年改正 事業承継税制の概要
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 事業承継税制を受けるための条件をクリアできれば、
 株式にかかる贈与税や相続税が、
 最終的に100%免除されます。

 わかりやすく言うと
 「中小企業が次世代に事業承継するのであれば、
 相続税や贈与税を大幅に減免する」という内容です。

 「何億円規模にもなる税金を免除してもいいから
 中小企業に頑張ってもらいたい」という
 政府の本気度が伝わってくる改正となっています。

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  主な改正の内容
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 1)緩和措置は平成30年1月1日から
   平成39年12月31日まで5年間の時限措置。

 2)納税猶予対象株式が3分の2から100%全部対象になった。

 3)猶予税額が80%から100%全額猶予になった。

 4)承継する側1名、承継を受ける側1名の1対1だったが、
   承継を受ける側が3名までカバーされることになった。

 5)雇用確保要件が、従業員の8割を5年間雇用
   (継続雇用できなければ猶予停止)だったが、
   支援機関を通じて申請すれば猶予を継続。

 6)承継後に廃業や事業譲渡したら猶予停止だったが、
   廃業や譲渡時の時価で税額を再計算して納税すればOK。

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  先代の経営者の要件
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 1)会社の代表者であったこと。

 2)贈与時に代表権を有していないこと。

 3)先代の経営者と同族の関係者で総議決権の50%以上を有し、
   かつ後継者を除く同族内で筆頭株主であること。
   ※先代の経営者以外の場合でも、すべての個人株主が適用対象。
    (親族・親族外は関係なし)

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  後継者の要件
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 1)会社の代表者であること。

 2)20歳以上で、役員就任から3年以上経過していること。

 3)後継者と同族の関係者で総議決権数の50%超を有し、
   かつ同族内で筆頭株主となること。(3名まで適用対象)

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 ほかにも確認すべき要件やメリット・デメリットはありますが、
 まずは下記の2つを参考にしながら、
 後継者候補の選定や育成、会社の経営状態の把握、
 自社株評価、事業承継税制活用の検討、事業承継計画の作成など、
 事業承継に向けた取り組みを始めてみましょう!

 
▼ 中小企業庁「経営者のための事業承継マニュアル」
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170410shoukei.htm
▼ 平成30年5月に更新された、経済産業省「ローカルベンチマーク」
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/