==========★現役司法書士が特別レクチャー!★==========
後継者確保難時代の経営者へ「相続・事業承継“必須知識”シリーズ」
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【VOL.1】はじめに 決めていますか?「継がせる形」
【VOL.2】事例「社長:山田太郎の場合(法定相続)」
【VOL.3】事例「続・社長:山田太郎の場合(民事信託)」
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VOL.1では司法書士の観点から
*「継がせる形」をあらかじめ決めること
* その形に見合った準備・経営を進めていくこと
この重要性を説き、自社株や相続・贈与税問題を取り上げました。
そして、VOL.2では【社長/山田太郎】の事例を用いて、
「長男に継ぎたい」という
想いを告げられないまま太郎氏が急逝した場合、
法定相続と遺産分割、
それぞれの場合に起こりうるさまざまなトラブルと、
それを回避する【遺言】についてお伝えしました。
相続・事業承継におけるトラブルを回避するには、
遺言作成のような事前準備が必須になりますが、
今号では、同じく【社長/山田太郎】の事例を用いながら、
「もし、後継者が決まらなかったら?」のケースで有益な
【民事信託】という選択肢についてお伝えします。
■(おさらい)社長「山田太郎」の背景
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┌───────┐ ┌────┐
│山田太郎(社長)├──┬──┤花子(妻)│
└───────┘ │ └────┘
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┌────────┴─────┐
│ │
┌──┴──┐ ┌────┐ ┌──┴──┐ ┌────┐
│浩一(長男)├┬┤桃子(妻)│ │浩二(次男)├─┤千代(妻)│
└─────┘│└────┘ └─────┘ └────┘
│
┌───┴───┐
│浩太(太郎の孫)│※未成年
└───────┘
<親族それぞれの想い>────────────────
花子……太郎の経営(やり方)を後継者にも継いでほしい
浩一……太郎の会社を手伝っている
桃子……姑(花子)との仲がよくない
浩二……太郎の会社とは全く関係ない企業に勤務
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【山田太郎の財産】総額2億2,000万円 =======
・自社株式 100株(5,000万円相当)
・自宅 (5,000万円相当)
・収益不動産 (8,000万円相当)
・預貯金 (4,000万円相当)
※相続税のことは考慮せず
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前号で述べた、
長男の浩一が社長を継いだ際のトラブルを回避すべく、
仮に次男の浩二を社長として株を譲ったとしても、
浩二には現在子供がいないため、
将来的に会社の株が第三者に渡ってしまうリスクが発生します。
また「浩一か、浩二か……。」と後継者を絞りきれないまま、
太郎が認知症など、正常な判断ができない状態になって
経営に携われなくなるというリスクも考えられます。
そんな時に検討したいのが【民事信託】という選択肢です。
■(例)一般社団法人の設立
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本事例では、太郎に合計2億2,000万円と
多額の個人資産があるため、一般社団法人を設立します。
そして、太郎と一般社団法人で信託契約を結びます。
会社の事業承継がメインのため事例では
自社株式100株(5,000万円相当)のみを社団法人に信託しますが、
民事信託であればもちろん自社株式以外の財産も
信託財産に付すことができます。
┌──────┬──────┬──────┐
│委託者:太郎│受託者:社団│受益者:太郎│
└──────┴──────┴──────┘
設立当初の一般社団法人の構成員(社員)は、
太郎・花子・浩一・浩二が最も信頼する会社の部下が良いでしょう。
そうすると万が一、
太郎が認知症になって業務を行えなくなったとしても、
議決権は一般社団法人にあるため、
一般社団法人が取締役・監査役などを決め、
取締役達が代表取締役を決められるため業務は遅滞しません。
また、認知症にならず太郎が死亡した場合でも、
信託が終わらないようにしておけば自社株式は相続財産にならず、
株主である一般社団法人は、
株主総会で役員を補充・選定することができるため、
業務はそのまま継続できます。
(あまり考えたくないことかとは思いますが)
このように、自分に万が一のことがあった場合も、
民事信託を活用しておけば
会社の歩みを止めることを防ぐことができます。
■(例)受益者連続型信託
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民事信託は、将来にわたる株式分散を防ぐ手段としても有効です。
仮に、浩一ではなく浩二が後継者に相応しいと考え直した場合も、
自社株式は株主である一般社団法人のものなので、
妻の千代に株が渡り分散するようなこともありません。
そしてその場合、
1)最初の受益者が太郎
↓
2)太郎が死亡したら浩二を受益者に
↓
3)浩二が死亡し、その時に浩二に子供がいて
後継者に相応しいのであれば、浩二の子に。
浩二に子供がいない、
または相応しくない場合は浩太に。
……というように、
設定時には現存していない子や孫を含めて、
予め数代先まで受益者を決めることができます。
いかがでしょうか?
民事信託は、他にも様々な使い方があります。
また今回は取り上げていませんが、
実際には相続税との絡みなどもあるかと思います。
ご関心があればぜひ一度ご相談ください。
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