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成功する定量・定性目標設定のポイント

2022.03.10

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「目標設定」について8回に分けて連載をしてまいりました。最終回の第8回は『成功する定量・定性目標設定のポイント』を紹介します。

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目次

成功する目標設定1:「難易度」の設定

目標設定は、基本的に本人とその上司で行いますが、どうしても社員間で目標の難易度に差が出てしまい、これを同列に評価して査定を行うと、不公平が生じてしまうものです。

そこで、あらかじめ設定しておくのが、その目標の「難易度」です。

難易度設定のポイント

定量・定性目標の区分に応じて、一定の定義のもと、その目標の難易度を<0.8~1.2>と設定しておきます。

つまり、簡単な目標で100点を取っても、0.8掛けで80点と評価され、難しい目標で80点を取っても、1.2掛けで96点と評価されるイメージです。

これにより社員間の不公平感を払拭することができます。ポイントは、難易度0.8~1.2の定義を、あらかじめ明確にしておくことです。

成功する目標設定2:部門間格差の解消

先記の「成功する目標設定1」は、本人と上司が納得の上でその難易度を設定しており、社員間でも評価上の不公平を感じないものになっています。

しかし、さらに成熟した組織では「会社の成長を考えると、その難易度で良いのか?」という声が、部門を越えて挙がるようになります。

たとえ評価される本人と、その上司が納得していても、100点が80点と換算されるような簡単な難易度の設定は、他部門であっても看過できないという声です。

部門間格差の解消のポイント

このような声が挙がった時にうまくいった方法の一つは、各部門の上司が集まっての『全社員分の目標チェック』です。

手間はかかりますが、目標設定は年に1~2回しかありませんし、社員が自らの手で会社を成長させる機会となります。また、何より上司が鍛えられる方法でもあります。

成功する目標設定3:本人アピール欄の創設

目標カードの一番下に本人アピール欄を設け、評価期間の終わりに、存分に本人アピールを書いてもらいます。書く内容は自由で、目標と無関係なことでも構いません。

これにより、目標以外の評価も可能となりますし、制度に対してポジティブな印象を持たせることができます。

ポイント

本人アピール欄を設けたのは、ある社員の方から「目標以外も評価してほしい」と相談を受けたことがきっかけでした。「目標以外の活躍も見えるようになった」と、評価する側からの評判も上々です。

成功する目標設定4:社長・役員による加点・減点欄の創設

本人アピール欄のさらに下に、社長・役員による「加点・減点欄」を設けます。評点づけに際し、社長・役員にある程度の裁量を残した方が、柔軟かつ妥当な運用が可能となるためです。

とはいえ、あまりに裁量幅が大き過ぎると目標設定の意味が無くなりますので、100点満点の目標カードであれば、±5~10点で設定するのが良いでしょう。

ポイント

代表的な加点事由としては、本人アピール欄の記載内容に加え「大幅な目標超過実績」や「お客様からのお褒めの言葉」などが挙げられます。
減点事由としては「本人帰責によるクレーム」や「会社への損害」などが挙げられます

毎年、社長が立てた予算を達成させるために、何も言わなくても各部門長が話し合って部門目標を設定し、それを部門に持ち帰って部下とじっくり話し合いながら個人目標を設定する。

そして、何も言わなくても毎月上司が進捗確認をし、結果、全員が目標を達成して予算が達成される。そのルーチンの中で社員がどんどん育っていく……そんな会社になったら良いと思いませんか?

用語解説

定量目標とは

定量目標とは、数値や数量で表す目標のことです。具体的な数値があるため、ゴールを目指す戦略が立てやすくなり、達成度や結果を第三者とかんたんに共有できるのが特徴です。

定性目標とは

定性目標とは、数値化できない目指すべき状態や行動を表した目標のことです。行動目標とも呼ばれています。目標が抽象的なので、認識のズレが生じないよう上司と部下で情報共有を行うことが重要です。

▼目標設定関連コラム

第1回 目標設定のやり方と5W2H
第2回 間接部門の目標設定
第3回 目標の進捗管理の仕方
第4回 部下の目標達成に導くコーチング
第5回 人事評価のフィードバック方法
第6回 目標設定のステップアップ方法
第7回 目標設定に関する失敗事例
第8回 成功する定量・定性目標設定のポイント
第9回 組織の成熟度に応じた人事評価制度の運用モデル

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人事評価制度を構築・運用するうえで最も重要なことは、公平・明確な評価の“ものさし”を設定し、それを社員にしっかりと説明、理解してもらうことです。具体的な指標や基準の設定方法、上手な運用方法にご興味がある方は、ぜひご参加ください。
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(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)

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この記事の著者

NBCコンサルタンツ株式会社

NBCコンサルタンツ株式会社は1986年の創業以来、会計事務所を母体とする日本最大級のコンサルティングファームとして数多くの企業を支援しております。4,290社の豊富な指導実績を持つプロの経営コンサルタント集団が、事業承継、業績改善、人材育成、人事評価制度など各分野でのノウハウをお届けします。