“社員ファースト”の経営で
自主性を育み
「誰もが社長になれる会社」へ。

業種
広告業
社員数
41名(取材当時)
売上
2.5億円(取材当時)

会社概要

会社名 株式会社木村エージェンシー
代表者名 代表取締役 荒井大輔 様
所在地 〒060-0808 北海道札幌市北区北8条西6丁目2-20
事業内容 広告代理事業
広告やウェブサイト・動画などの各種コンテンツ制作および企画
創業 1977年
資本金 1,000万円

「会社を守る」「社員を守る」。
そのために選んだ社長就任という選択肢。

代表取締役 荒井大輔 様

荒井社長「具体的に『経営とはこうだ。』と学んできたわけではありません。先代の背中を見て学ぶことが多いのかもしれませんが、それも叶いませんでした。だから経営は自己流なんです。もちろん就任時には、確固としたビジョンや根拠のある自信があったわけではありません。『やるしかないな。』という想いが強かったですし、私なりにできることはどんなことだろうと考えていました。」

北海道札幌に本拠地を置き東京は新宿にも拠点を構える株式会社木村エージェンシーは、1977年創業の老舗デザイン制作会社。40年を超える歴史を通じ、創造性と技術力を武器に、全国規模の広告デザインワークをこなし続けてきたプロ集団を率いるのは代表取締役社長 荒井大輔氏だ。 荒井社長が木村エージェンシーに入社したのは1999年。入社後はデザイン業務だけにとどまらず、数多くのミッションを並行してこなし続けることで、あらゆるスキルを磨き上げ、同時に周囲からの信頼も獲得していったという。 2005年、転機は突然訪れる。かつて荒井社長の直属の上司であり、2代目社長だった人物が急逝したのだ。当時会長職にあった初代社長が代表取締役会長に就くものの、荒井社長は本部長に任命される。以来、執行部からの信頼も厚かった荒井社長は、〝会社の行く末を責任者として考える立場〟と周囲からみなされるようになる。そして2015年、代表取締役社長に就任。〝マルチタスクをこなせる腕利きの本部長〟から、代表として会社をけん引する存在として第一歩を踏み出した。

『人』がすべて、と言い切る荒井社長が考える
木村エージェンシーの未来予想図

木村エージェンシーの未来予想図

荒井社長「かねてから社員たちの将来について〝全員が社長になってもらいたい〟と考えていたんです。比喩的な意味ではなく、分社化などの手法によって、誰もが社長を目指せる環境をつくりたいということです。 そして、それは『〝労働分配率(クラスター)経営〟を行えば可能だ。』と確信しました。社員全員が目標達成に向けて努力し、会社が潤えば環境はどんどん良くなる。そして、望めば誰もが社長になれる体制が整備されるというビジョンにリンクするんです。 私たちはデザイン事務所ですから、ある程度の期間勤めたあと、独立してフリーランスになる方が少なくありません。もちろんそれを否定するわけではありませんが、それ以外の道があってもいい。クリエイターとしてのスキルを活かしながら、より安定した環境のなかで仕事を続けていくために、会社の長としてやれること、やりたいことをやっていく……それを望んでいる社員もいると思うんです。」

社長就任後、社員の未来のために掲げたこのビジョンを実現する方法や具体性を模索していくなかで、NBC経営セミナーに参加。荒井社長は〝労働分配率(クラスター)経営〟の概念に出会う。

芽生え始めた社員たちの自主性
「誰もが社長になれる」土壌づくり

芽生え始めた社員たちの自主性「誰もが社長になれる」土壌づくり

荒井社長「まずは、きちんと機能する役員会を設立・運営しなければならないと思いました。役員には〝社員に対して幅広い選択肢を与えてあげられる存在であってほしい〟と思っています。私よりも現場に近いポジションの役員が、現場にモチベーションを与え、会社としての方針を的確に理解させる体制が理想です。 そのためには、役員の意識改革と役割の明確化が必要でした。徐々にではありますが、役員の頑張りが社員にも伝播し変化が表れはじめているように思います。 以前は〝大工はいるけど建築家はいない〟という状態でした。実際に手を動かす優秀な人材はいるし、物をつくり出すことはできるけれど、きちんとした設計図を描ける人間がいないということです。もちろんクリエイターが中心の職場ですから仕方のない部分でもあるのですが、それでは未来はないし、お客様のご期待にも応え続けられません。 役員は有能な〝建築家〟となり〝大工〟であるデザイナーたちのスキルやイメージを最大限活かす仕事をしてほしいと思っています。そうした面は明らかに良い方向に向かっています。役員が選択肢を与えたり、先のイメージを与えたりすることによって、社員一人ひとりが〝誰かがやってくれるだろう〟ではなく〝自分に何ができるか〟を考えるようになってきているのです。」

木村エージェンシーの未来予想図Ⅱ

木村エージェンシーの未来予想図Ⅱ

荒井社長「我々の仕事は〝人〟がすべてなんです。だから、社員という〝人〟がいなければ、木村エージェンシーは成り立たない。私自身、この会社は私の会社だとは微塵も思っていません。いわば〝みんなの会社〟です。その考え方が社員に伝わり、実感してもらえるよう、みんなで生み出した利益をできる限り一人ひとりに還元できるように努めていくつもりです。 最終形態としては〝誰でも社長になれる〟というレベルに留まらず、例えば〝社長を生み出すデザイン会社〟というスタイルで、社員を独立させるために存在するような会社を目指せたらおもしろいなと考えています。」

荒井社長と木村エージェンシーは、試行錯誤と一進一退を繰り返しながら、今日も前進を続けている。

詳しく知りたい方は

株式会社木村エージェンシー様の改善の軌跡・取り組みの全貌は

『NBCPlus』102号でもご紹介しています。ぜひご覧ください。